多様性と選別 その1

よくみよ。特に設置者よ。

 生物は単細胞生物から始まり、後に多細胞生物が生まれた。そこで大きく変化したのが、生殖形態と「死」という概念である。単細胞生物は、自分と遺伝子的に同じものを残す。つまり、コピーによって増えるため、「個」が即ち「種」であるといえる。したがって、自分に合わない環境に出会うと、即、種の絶滅に繋がる。そこで登場してきたのが多細胞生物である。多細胞生物は、自分と異なる「個」と交配し、自分とは異なる「個」を作り出すことによって自分の種を存続させてきた。生物は、「環境」というある種、運にも似た要素によって選ばれる種の存亡を左右する「選別」に耐えるため、「死」という多様性を生み出す一種の装置を作り上げた。ガラパゴス諸島における「フィンチ」という鳥は、くちばしがある一定の長さのものだけが生き残ったという話はその代表的な例である。
 これは、それぞれたった一つずつのために選別を繰り返してできている精子卵子についてもいえる。現在、この選別を行わず、多細胞生物が、単細胞生物的にコピーをして新しく固体を生み出す技術である、クローン技術が発達している。しかし、選別が行われないためか、生まれる確率は低く、生まれたとしても、寿命が極端に短いという。その意味でも、「多様性」が生まれ、そこから「選別」されることが生物としては必要とされていることがわかる。